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クリード 炎の宿敵
原題:CREED II

クリード 炎の宿敵

シリーズ前作「クリード チャンプを継ぐ男」(2015)から3年経って続編が公開。
ストーリーは、「ロッキー4/炎の友情」(1985)でアポロを死に追いやった宿敵イワン・ドラゴの息子ヴィクターが、アポロの息子アドニスと対戦するという、ロッキーの過去のエピソードと絡めてきたロッキーファンにはたまらないやつ!

監督は、「クリード チャンプを継ぐ男」(2015)の監督ライアン・クーグラーの後輩でスティーヴン・ケイプル・Jr。「クリード 炎の宿敵」(2018)が監督デビューだって、ヒュー!

ロッキーシリーズは、「ロッキー」(1976)、「ロッキー2」(1979)、「ロッキー3」(1982)、「ロッキー4/炎の友情」(1985)、「ロッキー5/最後のドラマ」(1990)、「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006)。スピンオフで、「クリード チャンプを継ぐ男」(2015)、「クリード 炎の宿敵」(2018)だよ。

クリード 炎の宿敵の映画情報

監督
スティーヴン・ケイプル・Jr
キャスト
マイケル・B・ジョーダン
シルヴェスター・スタローン
テッサ・トンプソン
フィリシア・ラシャド
ドルフ・ラングレン
フロリアン・ムンテアヌ
ウッド・ハリス
ラッセル・ホーンズビー
マイロ・ヴィンティミリア
ロビー・ジョンズ
アンドレ・ウォード
ブリジット・ニールセン
ジェイコブ・スティッチ・デュラン
クリード 炎の宿敵のネタバレを含む場合があります

以下、「クリード 炎の宿敵」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
クリード 炎の宿敵」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。

クリード 炎の宿敵のあらすじ・ストーリー

ロッキー(シルヴェスター・スタローン)のライバルであり親友のアポロは、ロシアのイワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)と対戦しそのまま帰らぬ人となった。
時は流れ、アポロの息子アドニス(マイケル・B・ジョーダン)が華々しく現役チャンピオンを継続している最中、イワンの息子ヴィクター(フロリアン・ムンテアヌ)がアドニスに挑戦状を叩きつけてきた。
両者様々な想いを胸に、最強同士の戦いがはじまる...!

クリード 炎の宿敵の感想・評価・レビュー

アドニス・クリードは、ロスから出てきてコンランに勝つことは叶わなかった「クリード チャンプを継ぐ男」(2015)から3年経ってチャンプのウィーラーに見事勝利し、念願のチャンプとなった。ウィーラーはアドニスがまだトゲトゲしていてボクシングを自己流でやっていたころにアドニスが乗っていたマスタングを賭けて戦って、負けた相手。この3年の間にウィーラーはチャンプになってたんだね。ちなみにマスタングもウィーラーから取り戻したみたい。

たぶんその日の夜、チャンプとなったら恋人ビアンカにプロポーズすることを決めていたらしく、大きなダイヤの指輪を用意してプロポーズをする。ビアンカはもちろん快諾してふたりは結婚した。ウィーラーとの試合をしてチャンプを勝ち取った日、プロポーズしてビアンカを抱くアドニス。体力ある〜

かわいのは、アドニスはプロポーズのことすらロッキーに相談する。父アポロを知らずに育ったアドニスは、アポロのライバルで親友のロッキーと父子のような関係になっているのがよくわかる。

プロポーズの相談を受けるロッキーは、エイドリアンにプロポーズしたときの思い出を語っていて、早々にアドニスを話を止められてしまったけど、雪の積もった動物園でエイドリアンにもしよかったら結婚してくれないかと言ったと聞いて思い出すあの光景!エイドリアンは笑って喜んでたな〜、ロッキーも愛するひとを抱き上げてしあわせそうだったな〜てロッキー初心者のあたしですらウルウルきたのだから、映画館にいた長年ファンのおじちゃんたちは「ロッキー2」(1979)を思い出して数秒くらい浸ったに違いない。

 

その頃、ウクライナでは、かつてアポロ・クリードと戦ってアポロを死なせてしまったイワン・ドラゴが、息子ヴィクターをトレーニングしていた。ドラゴはロシアの英雄だったが、アポロの死後ロッキーと戦って負けたために妻と別れ、国も追われ、ウクライナでひっそりと暮らしていたみたい。

イワンとヴィクターの登場シーンはセリフのない数分で、とても冷たくて寂しい印象だった。善悪とかないんだけど、アドニスがヒーローになる映画てのが前提であるから、どうしてもドラゴ親子がヒールになっちゃうじゃん。クリード2の悪いほう!と思われちゃうかもしれないけど、彼らがここまで強くなろうとしている理由がうかがえるようなシーンでもあって印象に残ってる。

ヴィクターはローカルな大会でちょこちょこ戦っていたみたいで、ヴィクターの強さに目をつけたプロモーターのバディ・マーセルはヴィクターにアドニスとの戦いを持ちかけたようだ。

 

それから数日後、ロッキーの店にイワンが訪ねてくる。イワンはロッキーに敗北した後にすべてを失った過去を語り、息子ヴィクターにボクシングを叩き込んだことを伝え、ヴィクターとアドニスを戦わせたいと申し出てきたのだ。ドラゴ親子の挑戦をロッキーは断るが、ドラゴ親子が挑戦表明をする会見をみたアドニスは戦うことを決意した。

ロッキーの説得も虚しく、アドニスは闘争心に燃えまくってる。ロッキーはアポロの二の舞になってほしくなかったし、当時の悔しさを繰り返したくなかったし、なによりアドニスを愛しているから危険な目に遭わせたくなかった親心。

うるせえ!世話が必要な老人が!的な怒りをぶつけるアドニスは、自分がヴィクターに負ける、と師匠ロッキーが思っているんだと考えると怒りに燃えたんだろう。大好きな父親に、自分が負けるだろうと踏まれるのは当然誰だって悔しい。

ヴィクターに勝つトレーニングができない俺は、電気のつかない電灯とおなしだ的なかんじで、アドニスのセコンドにはつかないと身を引き、ふたりは決別。

ロッキーはエイドリアンとポーリーのお墓の前でエイドリアンにつぶやく。カナダへ行ったロバート(ロッキーJr.)に会いたいけど、どんな顔して会えばいいかわかんないしな〜って。

まだロッキーJr.とうまくやってないのは悲しいね。「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006)で、やっと分かり合えたのに、あれはなんだったんだろうって思わせられた節。ロッキーシリーズのすべてを吐き出して、ロッキーJr.に伝えたあのメッセージ以上のことって、もはやロッキーにはなにもないくらいなのに、それでもロッキーJr.にわかってもらえなかったとなると、もうなすすべなしじゃん。

 

ロッキーの手を借りられないまま、打倒ヴィクターの日は迫るばかり。アドニスはビアンカとともにロスへ向かい、かつてアポロがいたジムを訪ねる。アポロのトレーナーであったデュークの息子が経営していて、アドニスはデュークにトレーニングしてもらうことになる。アドニスは、対決までのトレーニングの準備を整え、マーセルに正式にヴィクターの挑戦を受けることを伝える。

その夜、アドニスとビアンカはアドニスの母メアリー・アンと3人で食事をしていると、アドニスはメアリー・アンにロッキーと決別したこと、ヴィクターと戦うことを決めたことを報告した。そして、アドニスもビアンカも気づいていなかった、ビアンカの妊娠をメアリー・アンに見抜かれた。

すごいタイミングで妊娠が発覚したふたり。夫婦の間に子どもができるタイミングなんて人それぞれだろうけど、妊娠の可能性が少なからずある状態だったはずなのが驚き。ビアンカは歌で成功を夢見ていて、まもなくそれが手に入りそうな矢先、アドニスは父の敵討ちに全力を注ぐと決めた矢先。若い夫婦にたくさんの試練を与えなければいけないストーリー。だけどなぜか感情がついていかない。

こんな未熟な夫婦に、なぜこんな試練が降りかかるんだろうか?と同情することがない。たぶんそれは単純にアドニスがお金持ちのおぼっちゃまだからな気がする。おぼっちゃまでも貧乏人でも、努力し続けた者が勝ち、強いという証なのだろうけど、応援している側としては”父がいない”だけに捕らわれて、もがき続けていたアドニスはしあわせ者。こんなところで比べても仕方ないけど、父もなく金もない家のボクサーのほうがはるかに同情は募るだろうな、と同時に考えちゃう。

 

立派な父親になることという目標もできて気合いが入るアドニス。デュークとともにトレーニングをしてついにヴィクターとの戦いがはじまった。チャンプのアドニスを応援する声が大多数で、チャンプに挑むアポロを殺したイワンの息子ヴィクターはブーイングで迎えられた。

アドニス対ヴィクターの戦いは、アドニスがボディーを攻められ肋骨を骨折し、レフェリーのストップがかかるもヴィクターは勢い余ってアドニスの顔面にパンチ。ヴィクターの反則負けで幕を下ろした。

テレビ中継でアドニスを見守っていたロッキーはすぐに搬送された病院へ駆けつけたが、ロッキーはアドニスについてあげなかったことを謝るも、自分を見捨てた怒りをぶつけられて部屋を後にした。

アドニスは退院したが、ボクシングを再開できずにいた。チャンプのベルトは守ったものの、もはやヴィクターの反則パンチがなければ彼の圧勝だったことは明白。浅はかだった自分を悔いてか、デュークのもとへ行っても、サンドバッグを叩くことすらできなかった。

 

一方で、ヴィクターはさらに連勝をあげ、日に日に民衆はアドニスよりもヴィクターのほうが強いのではないかと思うようになってきた。あの戦いもヴィクターの反則負けではあったものの、ヴィクターが真のチャンプなのではないかと思われるようになっていた。

ある日ヴィクターは、ロシアで招かれた会食で自分たちを捨てたルミドラに再会した。ロシアの英雄のように讃えられた会食は、手のひらを返したような扱いでヴィクターは怒ってきた。父イワンは親子の将来のためだとヴィクターをなだめ、これまでの批判されて生きてきた自分の人生をヴィクターにはさせたくないような思いが感じられた。

 

アドニスがヴィクターの反則負けでチャンプのベルトをギリギリ保った戦いから数ヶ月、ボクシングを再開できずにいる息子をみて、メアリー・アンはロッキーをロスへ呼び出した。

アドニスはロッキーに励ましと喝を入れられる。なんのために戦うか、勝敗よりももっと大切なものがあると助言したロッキー。ロッキーの助言を聞いたアドニスはなにかを取り戻したように明るくなった。と、そのときビアンカが産気づいたと連絡が入り、ふたりは急いで病院へ向かった。

このシーン、ロッキーの言っていることは理解できるものの、「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006)のときのようなロッキーJr.へ爆発させたシーンとは違って生ぬるく、よくこのロッキーの助言がアドニスに刺さったなとちょっと不信。数ヶ月悩み続けていたアドニスを復活させるには、そんな大きな説得には感じられなかったシーンだけど、アドニスは見事元気になった。ロッキーのなかの熱いものはこんなものじゃないはず。ロッキーシリーズを一気にみた分際としては、ロッキーの気持ちまで年齢を重ねてしまったような気がして、すこし寂しかったシーンでもある。

 

分娩するビアンカのもとにかけつけてほどなくして無事に女の子が生まれた。アマーラと名付けられた娘は、出産後にビアンカの難聴が遺伝しているかの検査をしたが、まだ小さくて不確定かもしれないが難聴の症状があるという結果になった。

ビアンカも退院し、小さな娘との3人の生活がはじまった。あるとき、ビアンカが育児のストレス発散のため、少しの間スタジオに出かけたいとアドニスに子どもを預けた。アドニスは子守をしていたが、しばらくしてアマーラが泣きはじめて困惑。泣き止む気配がないアマーラを連れて、遠のけていたジムへふと訪れてみた。久しぶりにサンドバッグを叩き、じぶんを取り戻したアドニス。そして、サンドバッグを叩きまくる父アドニスの横で、いつの間にかアマーラは泣き止んでいた。

 

さらにじぶんを取り戻すため、なにか吹っ切れたアドニスは、再びロッキーとともに打倒ヴィクターのトレーニングをはじめる。

今度はアドニスがロシアに出向き、ヴィクターと戦うことになるが、もちろんヴィクターもさらなるトレーニングを積む。これまで孤独に練習を積んできたふたりの意気込みは、アドニスとはまた違うものがある。

過去、ロッキーに敗れてからあたたかいひとの心みたいなものには一切触れてこなかったイワンとヴィクターの親子。今度はアドニスを追い詰め、その後の連勝でロシア勢は手のひら返し。いい扱いに変わった世の中が、アドニスとの再戦で万一負けることになってしまったときには、再び冷たい視線や悲しい罵倒を浴びせられることは間違いないことをよく知っている。負けるわけにはいかない、やっと掴んだ功績がすべて崩れ落ちてしまうことの恐怖を払うため、親子はさらに辛く苦しいトレーニングをしてアドニスを今度こそ爽快にぶっ潰そうと臨む。

 

そして決戦の日。この前はブーイングを浴びながら入場したヴィクターも今は人気者、歓声で迎えられ、逆にチキンなチャンピオンだとされてしまったアドニスがビアンカの歌とともにブーイングで迎えられた。

簡単に言ってしまってはいけなそうだけど、ふたりの戦いはアドニスが勝利。僅差で勝敗が決着したかんじだけど、なんとも悲しい”愛”の差で決まった。

アドニスが奮い立ち、さいごを決めたシーンも感動はあるが、あたしには非常にチープで残念だった。家族の愛で勝利したようにみえるけど、アドニスはじぶんで解決していたように見える。ひとに頼る割に、じぶんで方向を決めてじぶんで解決する。ひねくれた考えかもしれないけど、最終的にじぶんで解決するのなら、あちこちで騒ぎ立てるのは個人的に好きじゃない。なんでもエイドリアンに左右されちゃうロッキーのほうが、よっぽど愛で生きている。

アドニスは愛で生きているかと思いきや、実はそうじゃない。じぶんの好きに、じぶんのタイミングで、じぶんの思うようにやっている。たまにスピードが遅くなったりして、やたらと周りにアピールしまくって、知らぬ間に克服してる。なんとも人騒がせで、おぼっちゃま的なところがある。

 

一方、ドラマチックだったのはヴィクターのほうだとおもった。国を追われ、名誉や名声だけにしか興味のない妻に捨てられ、ひとり息子とともに積年の恨みを晴らすことだけを目標に生きてきた親子。

やっとの思いで掴んだ栄光もつかの間、けっきょくまた敗北。手のひらを返した母親は、血の繋がった息子をまた見捨てる。一切、愛のない環境で育ってきたヴィクターかと思いきや、アドニスに負けたあと、再びはじまった父イワンとの鍛錬の日々だけど、ひとつだけ変わったのは父との絆。復讐だけが目的だった親子の野望は、親子の絆に変わってた。

ひたすら厳しく支持していただけのイワンが、ヴィクターといっしょに歩んでいこうとヴィクターに寄り添ったシーンは、この映画いちばんの感動だった。

ふたりのエピソードは、イワンとヴィクターの寡黙なキャラクターに合わせて、しかも主役はあくまでもアドニスだし、多く語られるわけでもなかったけど、アドニスのおしゃべりとは逆に、語られないからこそ滲み出るものがあって哀愁だとか切ない表現で描写されていた。父はいなくとも、愛情をたくさん注がれて生きてきたアドニスとの対峙でヴィクターたちの孤独がさらに濃くみえるのもあって、ふたりの絆は映画をみている人間に十分に伝わったんじゃないかとおもう。

 

ちょっとアドニスを悪く言っちゃってるかんじだけど、アドニスもよくやったとはおもってるよ。ただ、ドラゴ親子の成長のほうが、はるかに得たものが多いように見えたってこと。

ドラゴ親子のエピソードがスピンオフで作られたら超おもしろいんじゃないかと期待しちゃうくらい。たぶん、めちゃくちゃ泣けるんだろうな。父と息子のエピソードってたいがい号泣ものだしね〜。

とにかく鬼かっこよかったよ、ドラゴ親子。

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