2019.1.28
クリード チャンプを継ぐ男
原題:CREED
ロッキーシリーズのスピンオフ。シルヴェスター・スタローンとマイケル・B・ジョーダンのダブル主演。「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006)から9年後の続編でもある!
第88回アカデミー賞助演男優賞にシルヴェスター・スタローンがノミネート。ダブル主演だけど助演枠だね。
他にも映画賞で主演男優賞や助演男優賞を受賞しているよ。まちがいなく傑作!
ロッキーシリーズは、「ロッキー」(1976)、「ロッキー2」(1979)、「ロッキー3」(1982)、「ロッキー4/炎の友情」(1985)、「ロッキー5/最後のドラマ」(1990)、「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006)。スピンオフで、「クリード チャンプを継ぐ男」(2015)、「クリード 炎の宿敵」(2018)だよ。
クリード チャンプを継ぐ男の映画情報
原題 | CREED | ||
---|---|---|---|
制作年 | 2015年 | 制作国 | アメリカ |
上映時間 | 133分 | ジャンル | ドラマ |
映倫 | G | ||
オフィシャルWeb | hhttp://wwws.warnerbros.co.jp/creed/1st/ |
監督 | ライアン・クーグラー |
---|---|
キャスト | シルヴェスター・スタローン |
以下「クリード チャンプを継ぐ男」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「クリード チャンプを継ぐ男」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
クリード チャンプを継ぐ男のあらすじ・ストーリー
エイドリアンズを切り盛りしつつ、孤独に暮らしていたロッキー(シルヴェスター・スタローン)のもとを訪ねてきたアドニス(マイケル・B・ジョーダン)。
アドニスは、ロッキーのライバルであり親友だったアポロ・クリードの息子だった。
自己流で学んだボクシングを強くなりたいアドニスはロッキーにトレーニングを頼むが断られ、ボクシングジムへ通ってひとりトレーニングに打ち込んでいた。
黙々とがんばるアドニスをみて、ロッキーはアドニスのトレーナーになることを決め、ふたりで強敵に挑むが…。
クリード チャンプを継ぐ男をみた記録
アポロ・クリードの愛人の子アドニスは、アポロの妻メアリー・アンに引き取られた。
まさか、アポロに愛人の子がいたなんて。アポロが亡くなったのは「ロッキー4」(1985)、さかのぼるといつの子なのかよくわかんなくて、アドニスが産まれる前にアポロは亡くなってしまったってセリフがあるから、愛人が出産するギリギリ手前で亡くなってしまったんだろうと予想できるけど、イマイチ計算が合わないかんじで謎のまま。
アポロが残した財産やもしかしたら事業がうまくいっていたのか、妻メアリー・アンはなかなかの富豪。アドニスも不自由なく育ったようで、やっぱり品がただよう。ナイキやスーパースターのトレーニングウェアを着ているだけなのに、さらに価値が高そうな身なりにみえるから不思議。
ロッキーシリーズではボクシングは男臭くて乱暴でどこか汚いかんじがあったけど、アドニスはおぼっちゃまだから、ぜんぜん男臭いボクシングに見えない。
すくすく成長したアドニス、ふつうの仕事に就いて昇進もして、まじめに働いていた風、しかもうまくいっていた風だけど、ボクシングをしたい気持ちでずっとモヤモヤしていたみたい。
思い切って仕事を辞めて、義母にボクシングがしたいって告白。義母的にはアポロを亡くした憎っくきボクシングの世界に、溺愛する息子が挑みたいなんて言うもんだから、悲しくも、アポロの血を引いた男なんだと複雑な気持ち。鬼になることを選んだのか、父同様ボクシングするならこの家を出ろと勘当する。
アドニスは勘当されたものの、義母への愛は変わらず、必ずチャンプになって戻ってくるんだなんて気持ちを持って家を出たんだろう。なんていい息子だ。富豪である義母の育て方は、なにひとつ間違いがなかったような、理想的な教育だったのがうかがえるよね〜。
アドニスが向かうはフィラデルフィア。何度もみたアポロとロッキーの試合、アポロはもういない、頼るはロッキー。アポロの息子は、アポロのライバルであり親友だったロッキーにトレーニングを頼みにいく。
ロッキーは、最後の戦いからずいぶん経ってもうおじいちゃん。レストランエイドリアンズを細々と切り盛りして、ボクシングジムすら顔を出すことすらしていなかった。ポーリーは亡くなり、エイドリアンの横の墓に眠っていた。ロッキーの息子ロッキーJr.は、「ロッキー・ザ・ファイナル」でやっとロッキーと分かり合えて、親子の絆を取り戻したかに見えたけど、やっぱりチャンプの父親とおなし街にはいられなかったらしく、結婚してカナダへ行ってしまったらしい。ロッキーはとってもさみしい毎日を送っていたはずだ。
そこへ訪ねてきたアポロの息子。トレーニングをしてくれと頼まれても首を縦に振らなかった。アドニスは膨れながら、アポロの息子であることは隠してミッキーのジムへ入会して、じぶんなりのトレーニングを続けた。強くなろうと努力しているアドニスをみて、ロッキーは徐々にアドニスがかわいくなっていったのか、アドニスのトレーニングをすることになる。
チャンプのロッキーがトレーニングをするなんて、若きボクサーたちにとってはとっても羨ましいことで、みんな横目でアドニスをうらやんで嫉妬していたかんじ。
だけどアドニス、ほんと育ちがいい。周りがどう思おうと、目標にはまっすぐ進むしっかりした信念のある男。(Wikipediaに書いてあったけど、”クリード”は英語で信条・信念の意味があるんだって。かっこいい!)脇目も振らず、ひたすらボクシングに打ち込む。
ただひとつ、脇目を振ったといえばビアンカというかわいい恋人の存在。特別かっこよく口説いたわけでもなく、素直に真剣に恋愛して見つけた恋人。”俺たち恋人になろう”なんて言葉を言ったわけでもなく、ふたりは運命のように恋人になった。超お似合いでヤキモチする隙間すらないくらい、赤い糸でガッチリ繋がってる感。
ロッキーの映画は、変な女が出てこないのも特徴だよね。エイドリアンもそうだし、今回の「クリード」でもわかったように、アポロの妻メアリー・アンもできた女だ。さらに、アドニスの様子をみると、アポロの愛人も思いやりがある人間だったんだろうって予想できる。ついでに、「ロッキー・ザ・ファイナル」ではリトル・マリーがいた。リトル・マリーは夫とは離婚したけど、素直なやさしい息子を育てていた。
なんとなく、ボクシングってゆ男臭い戦いに女は不可欠であって、ボクサー本人のたゆまぬ努力が大前提だけど、それと同時に恋人だったり妻だったりの愛するパートナーの存在が必要だって言っている気がする。
今回の脚本はシルヴェスター・スタローンがかいたものではなかったけど、ロッキーをみた人間なら、チャンプになる男には最愛の存在が必要だって理解していて、スタローンの意思を引き継いでいるんだろう。
恋人ビアンカの後押しもあって、アドニスはロッキーの組むメニューをひたすらこなし、ミッキーのジムの有望若手選手との試合をすることになる。2ラウンド目でアドニスはKO勝ち。ロッキーとアドニスとビアンカの3人で勝利を祝った。
翌日、アドニスの生い立ちを調べた人間がいたんだろう、アドニスがアポロの息子だとバレる。アドニスは瞬く間に有名人。鼻がよくなくても金になると企画する人間がでてくるのは当然のこと。興行収入を目的に現役チャンプのコンランがアドニスと戦いたいと申し出てきた。
ロッキーは反対。ほんとロッキーっていつも慎重。アドニスはやりたくてしょうがない。アポロの息子ではなく、アドニスというひとりの男として認められるために現役チャンプと戦って証明したいとロッキーに伝える。
かつて、ロッキーJr.はチャンプである父に劣等感を感じて、けっきょくは打ち勝つことができずロッキーと距離を置くことになった。あのロッキーと心優しいエイドリアンの子なのにヘナチョコに育った。でもアポロの息子アドニスは違った。父親を知らないのに、果敢にじぶんの居場所を求めたり、父と比べられることに負けなかったり、強い人間になった。
ロッキーはアドニスの気持ちを理解して、コンランとの戦いを承諾し、より一層大変なトレーニングをはじめた。
が、ロッキーに癌が見つかった。幸いにも初期だったようだけど、化学療法を拒否するロッキー。過去、エイドリアンが癌で亡くなったときの治療がすさまじく大変だったことを見ていて、じぶんはなにもせず癌を受け入れることを選んだ。
アドニスはロッキーの癌を知り、癌と戦わないロッキーに怒った。ロッキーが戦わないなら俺も戦わないって。そのことばが響いたのか、息子のようなアドニスをできる限りサポートしてあげたいと力が湧いたのか、諦めるなんてチャンプのすることではないと思ったのか、ロッキーは癌と戦うことを決めた。
アドニスはさらにトレーニングに身が入り、ロッキーもつらい治療をしつつ、アドニスをサポートした。
コンランとの戦いの日がやってきた。大勢の観客はコンランを讃える。あのアポロの息子なのに、なぜかそっちに期待しない。まして、アポロの息子はあのロッキーの弟子になったのに。アポロが亡くなって数十年経ち、とてつもない奇跡のようなシナリオになったのに、ほとんどがアドニスにブーイングだった。贔屓目なしにしても、のアドニスを応援する声がたくさんあるべきなのに超イラつく。
アドニスとコンランの戦いは、最初はコンランが圧勝するかとおもったけど、徐々にじぶんのボクシングができていったのか互角になった。最後には、アドニスがコンランを負かす可能性が大いに出てきた。最終ラウンド、あと数十秒あればアドニスが勝ったであろう戦いで、アドニスはコンランに負けた。
入場のときとは打って変わって、会場は大健闘したアドニスを大いに讃えた。コンランもじぶんをここまで追い詰めたアドニスを讃えた。
やっぱり最後は泣かせてくれる。クソみたいなビッグマウスのチャンプも、そこはおなしボクサー。強いやつはちゃんと認める。意外とスポーツマンシップを大事にする。
今回も泣いてしまうシーンがたくさんあった。ポーリーの死もそうだし、愛するひとたちを失ってひとりぼっちになってしまったロッキーもそうだし、父親がいないことを蔑んでいたアドニスもそうだし、ロッキーの癌もそうだし、ロッキーとアドニスが父子のような強い絆で結ばれたこともだし、アドニスがボクシングによって過去を払拭できたこともそうだし、ロッキーがまた生きる希望を見つけられたこともそうだ。
今回も、すばらしい人間ドラマを見せられた。ロッキーは裏切らないね〜、ほんと愛を教えてくれる。基本的にロッキー側の人間がみんないいやつ。こんなに教育にいい映画、ほかにあるかな。
クリード チャンプを継ぐ男のシリーズはこちら
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