2019.4.2
タクシードライバー
原題:Taxi Driver
第49回アカデミー賞の作品賞や主演男優賞、助演女優賞などにノミネート。ちなみに作品賞を受賞したのは「ロッキー」(1976)!
カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを受賞してるよ。
Wikipediaによると、1994年にアメリカ議会図書館がアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録した作品の1つなんだって。アメリカ国立フィルム登録簿というのは、合衆国・国立フィルム保存委員会によるアメリカ議会図書館に永久保存するフィルムを選択・保存するアメリカ合衆国の制度のこと。永久に保存しておこうと決まった映画ってことだ、すごくない?
タクシードライバーの映画情報
原題 | Taxi Driver | ||
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制作年 | 1976年 | 制作国 | アメリカ |
上映時間 | 114分 | ジャンル | ドラマ |
映倫 | PG12 |
監督 | マーティン・スコセッシ |
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キャスト | ロバート・デ・ニーロ |
以下「タクシードライバー」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「タクシードライバー」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
タクシードライバーのあらすじ・ストーリー
ベトナム戦争の海兵隊だったトラビス(ロバート・デ・ニーロ)は、ニューヨークのタクシー会社にパートで働くことになり、タクシードライバーになった。
深夜にタクシーを運転しているといろんな街の様子を目にする。汚いゴミのような街がききれいに流れてしまったらいいと考えるほど、治安も悪く倫理やモラルがない環境に嫌悪していた。
ある時知った、美しい女性ベツィ(シビル・シェパード)に一目惚れ。ベツィが勤める大統領候補のパランタイン議員の選挙事務所を覗いて見つめる日々だったが、直接会いに行きデートに誘うとオッケーをもらえて親しくなっていった。しかし、ある夜に映画をみることになったふたり、トラビスはベツィを無神経に悪気もなくポルノ映画館に連れていった。ベツィは激怒し、それから音信不通になってしまった。取り合ってくれないベツィに、トラビスもいい加減怒り、選挙事務所に押し入って罵倒を浴びせた。
ベツィも離れ、モヤモヤがおさまらないトラビスは、特に仲がいいわけでもない仕事仲間になにか新しいことがしたいと漏らすほど、不満を爆発させたいような、トラビスのなかで不明確な感情が生まれていたみたい。
しばらくしてトラビスは、いつだかタクシーに乗せたが連れの男に強引に呼び戻されていった少女(ジョディー・フォスター)を見つけた。まだ子どもなのに学校へも行かず売春している少女が男に連れ戻されたときになにもできなかったことが引っかかっていたのか、トラビスは自分で街をきれいにしようと思い立ったようで、早速拳銃を調達した。射撃の練習やトレーニングもはじめた。
トラビスは、少女を連れ戻した男スポーツのところへ向かい、客として少女に会いにいった。アイリスと名乗った少女に、なにかをするわけではなく、更生させようと説得しようとした。しかしアイリスは、トラビスの説得を聞き入れないわけでもないが、スポーツに丸め込まれてスポーツのそばを離れなかった。
トラビスは決心した。髪をモヒカン刈りにし、銃を身につけ、パランタイン議員が演説する場に向かった。パランタイン議員を撃とうと近づくがシークレットサービスに見つかり、危うく逃げた。
そしてトラビスはアイリスのもとへ向かい、スポーツや客たちを撃ち殺し、負傷しながら自害しようとするが弾はなく、ソファに座り込んだところに警察がやってきて銃撃戦は終わった。
トラビスはテロ行為未遂をしたものの、それは誰も知らず、スポーツたちを殺して少女アイリスを悪い大人たちから守った英雄として取り上げられた。アイリスはその後、実家へと帰り更生して学校にも通いはじめたとアイリスの両親から感謝の手紙が届いていた。
ラスト、トラビスはベツィをタクシーに乗せ自宅まで送り、またニューヨークの街を走るのだった。
タクシードライバーをみた記録
なんてむつかしい映画だこと!これをどんな映画か、て説明しようとするのは非常にむつかしい。
ただ、トラビスが異常な人間だということは十分にわかる。
そもそも、なぜトラビスが世の中に苛立っていたのか。ベトナム戦争を経験して、愛国心で戦ってきた兵士、いざ国に帰ってきたら、ぬるいバカたちがはびこる汚い国。こんな国のために戦っていたのかと苛立ったのか。
だけどしっかり恋はしていて、ベツィの気を引こうとするけど、これまであまり経験がないのか女の扱いを知らず、無神経なデートプランでベツィに嫌われる。はじめてのちゃんとしたデートに、ポルノ映画みせちゃうって女心を知らない云々の問題ではなくイカれてる。トラビスがいかにイカれてるかを描写したかったのか、実際に自分をトラビスみたいなやつが口説いてきて、映画いったらポルノみせられたとなったら超怖くて震えるし、十分にそれはわかった。
さらに12才の少女アイリスにこだわって更生させたがるのもなんかスムーズではない。たとえば、アイリスを非行から戻すことも、パランタイン議員を撃ち殺すこともベツィの気をひくため、もしくはベツィに己の存在を知らしめるため、そんな意図があったとしたら、時折みせたスポーツに強引に連れ戻されアイリスを助けられなかったことを思い出すようなトラビスの表情の意味はなんだったのかって話になる。
あとから思えばどんどん恐怖がわいてくるけど、”なにか新しいことがしたい”という感情だけでパランタイン議員を撃ち殺してやろうなんて決意しちゃうトラビスの心理なんて相当やばい。結果、それは成し得なかったけど、その勢いのままスポーツたちを撃ち殺して英雄。むちゃくちゃイカれたやつが、ちょっと状況が変わって、撃つ相手を変えただけで英雄と呼ばれ、ふつうにその辺をタクシードライバーとして街をさまよってるという事実。悪いことをしてやろうと考えたが、人間を殺すための道具を向ける先がすこし違っただけで英雄と讃えられた。
“悪いこと”と思ってやったのかもちょっとちがうのかもしれない。事を終えたあとは自ら死のうと考えた彼は、ただ世直しとして自分の責務みたいな認識で全うして、この汚い街から消え去ろうと考えていただけかもしれない。
しかし、世の中どうなるかわからないというのがおもしろいところで、気づいたら英雄でしたと幕を下ろす。さらに、猛烈に好きだったベツィのことなんて、これっぽっちも気にしなくなったという。
なにか大きなことをすると、さっきまで気にしていたことが驚くほど小さなことに思えたりすることってあるけど、それと似たようなことがトラビスのなかで起きたのかもしれない。だけど、トラビスが仕事に復帰してから、なにを考えているのかはまったく読み取ることはできず、最後の最後まであたしにはイカれたやつにしか思えなかった。
特に女性は、だれがみても最初から最後までトラビスがイカれたやつだということは感じ取れるだろうし、実際にトラビスのようなひとが周囲にいたら間違いなく気づくだろうし、、、平凡な毎日のなかにトラビスのようなやつが潜んでると言われても、そりゃそうだろうし、トラビスみたいにイカれてるやつ、めちゃくちゃ目立つと思うけどな。
なんかいろいろしっくりこない。たくさん評価されている映画のようだけど、役者の演技がどうのこうのは別として、この映画の真意だとかは、もはや特に女性としては、よく理解していることのようにも思える。ベツィみたいなバカな女が知らないといけないことのような。
たくさん評価されているからってあまのじゃくに、あたしが斜に構えてしまっているだけかな。
さて、この考えはどうでしょうか、自信は少なめ。
ハーヴェイ・カイテル
トラビス(ロバート・デ・ニーロ)が救おうとしたアイリス(ジョディー・フォスター)に売春させていた男スポーツを演じたハーヴェイ・カイテル。ロバート・デ・ニーロの存在感はもちろんだけど、ハーヴェイ・カイテルの存在感もまたすごい。
なんてったって、ダイヤモンドユカイにそっくり!