2019.6.23
手紙は憶えている
ちまたで噂が多い「手紙は憶えている」(2015)。なんでも、あっと驚く結末だからだとか。
それを聞いてしまうとリアクションに影響が出てしまうからイヤなんだけど、『結末が〜なんちゃら系』でよく名前が挙がっているから仕方なく目にしてしまうことが多そう。
監督は、「クロエ」(2009)のアトム・エゴヤン。
手紙は憶えているの映画情報
原題 | Remember | ||
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制作年 | 2015年 | 制作国 | カナダ・ドイツ |
上映時間 | 95分 | ジャンル | サスペンスドラマ |
映倫 | PG12 | ||
オフィシャルWeb | https://www.asmik-ace.co.jp/lineup/1219 |
監督 | アトム・エゴヤン |
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キャスト | クリストファー・プラマー |
以下「手紙は憶えている」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「手紙は憶えている」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
手紙は憶えているのあらすじ・ストーリー
最愛の妻ルースが死んだ。だが、90歳のゼヴはそれすら覚えていられない程、もの忘れがひどくなった。ある日、彼は友人のマックスから1通の手紙を託される。「覚えているか?ルース亡きあと誓ったことを。君が忘れても大丈夫なように、全てを手紙に書いた。その約束を果たしてほしい―」2人はアウシュヴィッツ収容所の生存者で、70年前に大切な家族をナチスの兵士に殺されていた。そしてその兵士は身分を偽り、今も生きているという。犯人の名は“ルディ・コランダー”。容疑者は4名まで絞り込まれていた。体が不自由なマックスに代わり、ゼヴはたった1人での復讐を決意し、託された手紙と、かすかな記憶だけを頼りに旅立つ。だが、彼を待ち受けていたのは人生を覆すほどの衝撃の真実だった―
引用元https://www.asmik-ace.co.jp/lineup/1219
手紙は憶えているをみた記録
アウシュビッツ収容所に入れられ、家族を殺されて過去を持ちながら生きるというのは、どんな気持ちなんだろうか。
そうゆところは描かれていなく、もう覚悟を決めて、決心がついて、目的はたった一つ、なんて状況からはじまるもんだから、というか、そんなデリケートなところを描いてしまうとこの映画が成り立たないから、4人のルディ・コランダーに会うたびに、すこしエピソードを加えている様子。
妻は他界、認知症を発症、自分の最期のまえに、かつての恨みを晴らすために、ひとり見知らぬ地をまわる。
どうしてわざわざ認知症なのか、を考えてた。ヨタヨタの90歳だけでも勇敢でちょっとかっこいいのに、どうして認知症を追加したのか。ここが大きなポイントかまでは思わなかったけど、認知症を差し引いてもキレキレの90歳はリアリティがなさすぎるし、ヨタヨタ寄りの元気なおじいちゃんでも成立しそうだけどな、と疑いながら。
かれこれ進むと、まさかマックスの計画になぞった復讐劇だったとは。認知症がしっくりくることになる。体の弱いマックス、頭脳は余裕で現役で、緻密な計画をひとりで遠方から進めていたとはな。
敵すらも味方に付け、自分は手を汚すことなく復讐を完結させた。
さすがに、ゼヴが亡くなったあと、マックスが書いたあの手紙は発見され、死人に口なしとはならずマックスが計画したことに沿って行動していたゼヴの行動が明らかになるはずだけども、もはやマックスにとってはそんなことどうでもよく、自分や家族たちを苦しめたアウシュビッツのブロック長への恨みを晴らすことで、彼の人生が全うされることなのだと思えば、マックスの見事な圧勝で終わる。