映画紹介・映画レビュー《ポップコーン》

映画を探す・検索

2019.6.4

告発

告発
原題:Murder in the First

ケヴィン・ベーコンが放送映画批評家協会賞主演男優賞を受賞。

アルカトラズ刑務所で実際にあった過剰な虐待を受けたヘンリー・ヤングの告発で刑務所が閉鎖された実話をもとにした映画。(ヘンリー・ヤングという人物についての多くはフィクションばかりのようだよ。)
実際にアルカトラズ刑務所で撮影されたシーンもあるんだって。

映倫の指定がないけど、小学生以下にはショックが大きすぎてみるべきでないけど、中学生以上になったら学校の授業で学生全員にみせるべきだな。

告発の映画情報

原題 Murder in the First
制作年 1995年 制作国 アメリカ
上映時間 124分 ジャンル ドラマ
映倫 -
監督 マーク・ロッコ
キャスト

クリスチャン・スレイター
ケヴィン・ベーコン
ゲイリー・オールドマン
エンベス・デイヴィッツ
ウィリアム・H・メイシー
スティーヴン・トボロウスキー
ブラッド・ドゥーリフ
R・リー・アーメイ
キーラ・セジウィック
ステファン・ギーラシュ
ジョアンヌ・ウォーリー=キルマー
ミア・カーシュナー

告発のネタバレを含む場合があります

以下「告発」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
告発」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。

告発のあらすじ・ストーリー

両親はなく、妹とふたりで生きていたヘンリー・ヤング(ケヴィン・ベーコン)は、5ドルを盗んだ罪で25年服役する刑を受けアルカトラズ刑務所に収監された。ヘンリーは脱獄をしようとして未遂に終わり、穴蔵と呼ばれる独房に入れられたが、本来囚人を独房に入れる日数は十数日までとされているが、ヘンリーは1000日も入れられた。独房にいる間、グレン副所長をはじめ過剰な虐待行為を受けていた。

独房から普通の環境に戻ったヘンリーだが、脱獄をしようとしたときの裏切り者をスプーンで刺殺。その弁護には司法試験に合格したばかりの弁護士ジェームズ・スタンフィル(クリスチャン・スレイター)が担当することになった。ジェームズは弁護のためにヘンリーと話をしていくうちに、刑務所でひそかに行われている不当な虐待の実態を知り、アルカトラズ刑務所を告発した。

第1級殺人で無期懲役か過失致死で3年間アルカトラズ刑務所に入るという判決が下されるであろうとき、ヘンリーはアルカトラズ刑務所へ戻りたくない気持ちから、有罪を認めようと怯むが、虐待によっておかしくなったという主張をし、陪審員は過失致死と判断。さらに陪審員はアルカトラズ刑務所を適切な更生を助ける場所であるかを確かめてほしいと訴えた。

ヘンリーはアルカトラズ刑務所へ戻り、勝利を誇って独房に入った。3日後、ヘンリーは獄中で死亡した。

告発の予告動画または関連動画

告発をみた記録

人権尊重への配慮もなく、動物以下の扱いを受け、虐待されらような人物を取り上げた映画はたくさんあるだろうけど、この映画もまた重くて痛くて悲しすぎた。

多くのひとが求めていそうな興行的な名台詞みたいなものが少ないのも、痛々しいエピソードを物語るのに適切だったとおもうし、”すごい映画だ”と言わしめる理由なのかも。

ヘンリー・ヤングの人生は、実際に妹がいたのにもかかわらず、その記憶がじぶんの想像と考えるくらい、幼いころの思い出みたいなものがなく、たった5ドルを盗んだ罪からはじまる服役生活がほぼすべて。

過失致死の判決を受けたあとの期間、かろうじて正義の名の下に耐え忍ぶことができたかもしれないけど、計り知れない苦痛を味わったことが、彼が生きた人生のすべて。

唯一求めた友だちとの友情も、彼のなかでは耐え難い不当な仕打ちにひたすら耐えるための支えにはなっていたんだろうけど、アルカトラズ刑務所で散々リンチされているシーンをみたあとではなんの救いにもならなかったな。

ま、きっとふつうの人間ならおなしような気持ちになるだろうし、犯罪者であっても正当な処罰が与えられて、更生のチャンスが与えられるべきだと考えるはず。

もちろんこれは、ヘンリー・ヤングという、たった5ドルを盗んだ軽犯罪者だからであって、これがまた別の罪で服役した犯罪者だったらぜんぜん違う見方になる。

もし、別のまたちがう罪の犯罪者に対してリンチが起きたとしても、当然だという声が多いかもしれないし、こんなドラマは生まれていないかもしれない。ひとへのなにが正しくてなにがいけないかをはかることはむつかしい。もしかしたら不可能かもしれない。だから基準として法律があるんだけど、結局裁判では陪審員の心に委ねられる部分も多いのは矛盾しているとしか言えない。

ヘンリー・ヤングへの不当な仕打ちが世間に知れ渡り、職権を濫用してリンチしたグレン副所長たちが処罰を受け、アルカトラズ刑務所も封鎖されたのは、苦痛に耐えるだけの人生を送ったヘンリー・ヤングと、人権尊重を訴えた青年弁護士ジェームズ・スタンフィルの功績なんだろうけど、なにかが変わるときてのは、なんでも苦しい代償があると知らされる悲しい現実。

彼はいま、風にでもなって、どこかで吹きわたっているのかもしれないけど、その風にですらしあわせになってほしいって思うくらい、感情的にならないではいられない映画!

ゲイリー・オールドマン
https://www.imdb.com/title/tt0113870/

ゲイリー・オールドマン

ケヴィン・ベーコン演じるヘンリー・ヤングに不当な仕打ちをし続けたグレン副所長を演じたゲイリー・オールドマン。
悪いやつが似合いすぎて、さらにその芝居もピカイチなおかげで、「告発」(1995)をみてゲイリー・オールドマンがきらいになってしまった。

ヘンリー・ヤングがカリカリに痩せ細っているなか、プクプクと幸せそうな中年太りに腹が立つ。名俳優ならではの、映画の役なのに嫌われてしまうあるあるが常にあったんじゃないかと想像できるね。大好きだけど、大嫌い!