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クイズ・ショウ
原題:Quiz Show

クイズ・ショウ

1950年代に実在した『21』をめぐるスキャンダルを映画化。原作は、映画のなかでも出てくるリチャード・N・グッドウィン。映画のなかでは弁護士で、『21』の一件後は作家になったんだって。監督は、あのロバート・レッドフォードよ。

第67回アカデミー賞で作品賞をはじめ、助演男優賞や監督賞などノミネート。

クイズ・ショウの映画情報

  • 1994年制作
  • 132分
  • アメリカ制作のドラマ映画
  • 映倫(-)
監督
ロバート・レッドフォード
キャスト
ジョン・タートゥーロ
ロブ・モロー
レイフ・ファインズ
ポール・スコフィールド
デヴィッド・ペイマー
ハンク・アザリア
クリストファー・マクドナルド
マーティン・スコセッシ
バリー・レヴィンソン
エリザベス・ウィルソン
ウィリアム・フィクトナー
キャリスタ・フロックハート
ミラ・ソルヴィノ
ジェフリー・ノードリング
アラン・リッチ
バイロン・ジェニングス
クイズ・ショウのネタバレを含む場合があります

以下、「クイズ・ショウ」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
クイズ・ショウ」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。

クイズ・ショウのあらすじ・ストーリー

1950年代、大人気のクイズ番組『21』。一般人が参加し、勝利すると高額な賞金がもらえる。
『21』連勝中のハービー・ステンペル(ジョン・タートゥーロ)は、番組の視聴率がいまいちパッとしない理由で、制作側からわざと問題を間違えて番組を降板してくれと言われる。
ハービーは降りたくないと反抗したが、仕方なく承諾した。
一方、新たな挑戦者チャールズ・ヴァン・ドーレン(レイフ・ファインズ)は、制作側に気に入られ、あっという間にスターとなったが...。

クイズ・ショウの感想・評価・レビュー

1950年代、テレビのクイズ番組『21』が大人気だった。『21』は一般人が参加するクイズ番組で、毎回ふたりが対決し、勝利すると高額な賞金がもらえ、次週にはまた新たな挑戦者とクイズ対決をする勝ち抜き戦だった。

『21』出演中のハービー・ステンペルは、これまでにない連勝中だったが、テレビの視聴率は横ばいで、プロデューサーのダン・エンライトとアル・フリードマンは、華のないハービーをそろそろ終わりにしたいと考えた。

ちょうどその頃にクイズに挑戦したいと申し出てきたチャールズ・ヴァン・ドーレンが目に留まった。チャールズはハービーとは真逆のイケメンで家柄もいい好青年、スポンサーの印象も良いだろうと、チャールズを『21』のスターにしようと決めた。

そこでダンは、ハービーに次の対戦で”1955年のアカデミー賞作品賞は?”という問題に、”マーティ”という正解を間違えて、前年の作品賞である”波止場”と答えてくれと頼んだ。『21』の出演はそれで終了となるが、新たなテレビ番組に出演できるよう手配するような代替案と引き換えに、ハービーは約束をのむことにした。

ハービー対、挑戦者チャールズとの対戦の日、ハービーはダンに言われた通り、例の問題に”波止場”と答え、チャールズに敗北し連勝ストップ。番組出演を終えた。

その後はチャールズが連勝していくが、毎週出される問題の回答は、対戦前にあらかじめ番組からチャールズに教えられていて、”やらせ”で進行していた。チャールズは、”やらせ”をすることに良心が咎められたが、賞金も名声も手にし、そのまま連勝を続けていった。チャールズは視聴率のハートを掴み、番組の視聴率もアップし、さらに番組の人気は上がっていった。

番組を降りたハービーは、『21』の八百長や約束されたはずの次の出演番組の手配がされなかったことに腹を立て、大陪審(一般市民から選ばれた陪審員構成される、起訴するか否かを決定する機関)に告発するが、封印されてしまう。

その新聞記事に、なにかにおうと感じた立法管理委員会の弁護士ディック・グッドウィンは調査をはじめた。『21』の過去の出演者たちに話を聞いて回るが、みんな口をそろえて不正はなかったと答えた。しかしハービーの証言は違った。すべて”やらせ”であると言うハービーの言葉の裏を取ることを進めた。

一方、連勝中のチャールズとも知り合い、いろいろと探っていくうちに、ディックは人柄のいいチャールズやチャールズの家族とも親交を深めていった。

その後も調査を続けていくと、ディックは『21』の八百長の新たな証人と証拠を見つけ、ついにスキャンダルへと発展する。ディックは、チャールズを召喚するつもりはなかったが、嘘をついていたことを後悔するチャールズは自ら出廷し、八百長を認めた。

 

エンディング前に、チャールズは大学を去り作家に、ディックはジョン・F・ケネディのスピーチライターを経て作家に、ハービーは交通局に勤め、ダンとアルはNBCを去り、アルはペントハウスに勤め、ダンはしばらしくしてまたテレビ業界に復帰、財を築いた。NBCとスポンサーは咎められることはなかった。

 

 

と、こんなかんじで、文字にするとすごいスペクタクル感があるけど、実際の映画はそうでもなかった。途中テンポが悪くなるからかちょっと気が散る。そのせいなのか、テレビがショウビジネスだと思っているあたし的に、クイズショウの八百長が問いただされることにイラついてきてしまった。

倫理を問われれば、たしかによくないことだし、映画のなかでダンたちがやたら口にした教育的観点で言えば、こんなの大人たちの汚い面しかないわけだけど、どんな世界でも商売で成り立っていることを忘れちゃいけない。

嘘をつくことはだれでもいずれは疲れ果てるもので、もちろん気が進まなくて、真正直で生きていくことが正しい考え方だけど、嘘ではなくエンターテイメントであれば、それはすべて出来上がったシナリオとして成立するし、無論いまの時代なんてすべてシナリオがあるものばかりだから、なんの違和感もないし。

逆に、”やらせ”ではないものは、相当情熱を持ったひとたちが作るドキュメンタリーくらいで、あとはすべてシナリオがあるものだろう。

食べログみたいなグルメの口コミサイトに掲載する写真だって、美味しそうに写真を加工することも多いと思うけど、いわばそれだって良くみせようとする不正でもある。

ただ、一般の、本気でクイズで正解し続けたいと考えるピュアな人間がいるとすれば、その人間にとっては、食べログの写真加工はよくて、あらかじめ答えを知ってクイズに出場することは不正になるんだろう。

チャールズはその点、いいとこのおぼっちゃまだし、副講師の仕事は特段給料がいいわけではなかったけど、純粋にクイズを楽しんでいた種類の人間で、徐々に名声や金が手放せなくなってきてしまったけど、日々嘘をついているようで後ろめたさがあった。

ハービーは逆で、名声と金がいちばんで、番組を降りることに駄々をこねて、挙句、思った通りの次の番組のキャスティングに至らなかったことに腹を立てて、あたかも不正にクイズを勝ち残っていったことに苦しんだようにプロデューサー側の悪を訴えたように見える。

テレビの世界の倫理云々ではなく、駒のように使われたことへの腹いせだけで起こったスキャンダルのようにおもう。

小さな嘘であっても、嘘は道徳がある人間をむしばんでしまうっていうことだけは刺さったけど、テレビ業界の裏を暴いた一大スキャンダルと言われると、そんな大きな話じゃないようにおもう。

 

“悪党はピュアなチャールズがひとりで背負い、NBCとスポンサーはお咎めなし”

そりゃそうだ!エンタメである前に商売だ、みんな制作側やオーナー側の気持ちは汲んであげないのはなんでだろうな。

みんな損はないはずだったのに。

嘘をつくことが、いかにエネルギーを消耗するか。

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