2023.5.4
パブリック・エネミーズ
原作はブライアン・バーロウのジョン・デリンジャーをモデルにしたノンフィクション。監督は「ヒート」(1995)や「インサイダー」(1999)のマイケル・マン。
パブリック・エネミーズの映画情報
原題 | Public Enemies | ||
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制作年 | 2009年 | 制作国 | アメリカ |
上映時間 | 143分 | ジャンル | クライムドラマ |
映倫 | G |
監督 | マイケル・マン |
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キャスト | ジョニー・デップ |
以下「パブリック・エネミーズ」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「パブリック・エネミーズ」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
パブリック・エネミーズのあらすじ・ストーリー
1933年、アメリカは大恐慌時代。銀行強盗のジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)は“黄金時代”を謳歌していた。利益を独り占めする銀行のような強者から金を奪いとり、世間一般の弱者からは一銭たりとも奪うことはしないという独特の美学を貫きとおすジョン・デリンジャーは、紳士的な振る舞いとカリスマ性でヒーロー的存在となっていた。
一方で、華麗に強盗を繰り返すデリンジャーの捜査を強化するため、BOI(司法捜査局)もメルヴィン・パーヴィス捜査官(クリスチャン・ベイル)を赴任するのだった–––。
パブリック・エネミーズをみた記録
際立ったのは激しい銃撃戦とロマンスのように感じた。銃撃戦といえばそれはお約束だろうけれど、ここまでロマンスを描いていたのには驚いた。スタイリッシュなクライムドラマかと予想していただけに、デリンジャーがとてもロマンチックな男だったということに驚かされた。
社会の敵だがなぜか愛される悪党、というような意図を描いているような気もするが、愛していたのは強盗団界隈のやつらであって、決して五右衛門のような市民から愛される悪党ではないし、市民の財布は奪わず汚い金を奪うという主義も説得力に欠けていたようにおもう。そりゃぁひたすら警察に追われることになるし、市民だって頻繁にドンパチされたらこわいし、むしろちゃんと社会の敵であったようにおもう。
加えて恋人とのロマンスは、くすぐったくなるような色気っぷりで口説き文句がオシャレ。ましてやジョニー・デップなのでとてもセクシーだったのだけど、この映画はそれ以上に盛り上がらなかったようにおもう。常に追われる身という緊迫感はあるものの口を開けば恋人、という印象で強くかっこいい悪党というよりは、一人と決めたら揺らがないのに逃亡しているせいか落ち着かないプレイボーイ。実際にはファンもいるようで、こちらがおもっている以上に“いい男”だったようなのだけど、あまり魅力が伝わってこなかったようにおもう。
注目したクリスチャン・ベイル演じるメルヴィン捜査官にいたっては、活躍をみせるかとおもわれる寸前で抜きん出ず、結果大した活躍がなく終わった。まさに「ヒート」(1995)のような正義と悪を描いていたのだとはおもうのだけど、正義代表のメルヴィン捜査官がデリンジャーをもっと追い詰めていく姿を期待してしまった。クリスチャン・ベイルの無駄遣いともおもったほど。
事実がもとになっているのでしかたがないが重厚なのかロマンスなのか、の狭間で中途半端に終わったように感じた。銃撃戦だけは部屋でみているにもかかわらず、銃弾が飛び交う臨場感を味わったくらい迫力満点だった。見ごたえはあったか問われるとむつかしいな。