2022.6.20
セッション
監督・脚本は「ラ・ラ・ランド」(2016)のデイミアン・チャゼル。第87回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、J・K・シモンズの助演男優賞を含む3部門で受賞。
セッションの映画情報
原題 | Whiplash | ||
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制作年 | 2014年 | 制作国 | アメリカ |
上映時間 | 106分 | ジャンル | ドラマ |
映倫 | G | ||
オフィシャルWeb | http://session.gaga.ne.jp/ |
監督 | デイミアン・チャゼル |
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キャスト | マイルズ・テラー |
以下「セッション」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「セッション」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
セッションのあらすじ・ストーリー
名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。
ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。
だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。浴びせられる罵声、仕掛けられる罠…。ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。
恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。しかし…。
セッションをみた記録
遅ればせながら、あたしも名作を拝見した。『セッションみてみなよ』の声をなにかの理由でスルーしているひとがいたら、ぜひみてみたらいい。
多くの映画賞にノミネート・受賞しているだけのことはあって、まさに息を呑む情熱的な演奏シーンが見もの。音楽なんてぜんぜん知らない人間なのに、彼らのジャズへの情熱に圧倒される。なんだか抽象的な表現でダサいのだけど、いわゆる鬼教師のそれではないし、熱心な生徒のそれではないし、というか言葉としてふさわしくない。人間と人間がぶつかって、その衝撃で火花と血が飛び散り、命がけで音を出す、新種の格闘のよう。けっきょく比喩ダサい?まさにきょう行われた那須川天心選手と武尊選手たちのようなパンチとキックをやり合うような、とんでもないエネルギーを感じる。
決してドラマチックなものではないし、サクセスストーリーでもないのだけど、イカれ天才教師とイカれ偏見根性生徒が立場や身分をガン無視して、燃え盛る情熱のままジャズするのは音楽知らない人間でも充分に感動するはず。
音楽の世界でなくてもトップに上り詰めた人間は才能と根性が人より秀でているのは当然の話だろうけど、愚かで邪なあたしは理解できないことばかりだし、これから先、凡人以外の何者にもなれないことを確信させられた。
名曲を生んだ偉人たちの計り知れない努力と根性は、まさに血と汗の結晶、自分で積み重ねた根性の賜物。アンドリュー・ニーマンは偉大な人間になるための夢と叶えるための道筋をあの若さで決意し、さらに実行していく。自分の弱さを受け入れない強さ、負けない根性、刃向かう勇気、積み重ねる労力、周りを巻き込む情熱、長けた才能、持ったものではなく、アンドリューが夢のために必要と決めたものたちは感動以外に言葉がないよ。たぶんこれらぜんぶ、フレッチャー先生が求めたジャズの必須項目。
とにかくラストシーンが強烈なのだけど、先生がジャズドラムを育て上げた瞬間で、すべてがあの瞬間のための努力だったと思わされる演出。シビれない人はいないだろうな〜。イカれ天才教師もイカれ偏見根性生徒のセッションは見応えも歯応えも、手応えすらある傑作です!生意気いってる〜。手応え?
フレッチャー先生を演じたJ・K・シモンズはアカデミー賞助演男優賞を獲得。迫真の演技というか、本物?てかんじ。適役というか本人?てかんじ。
マイルズ・テラーは2ヶ月くらいかけて、実際にドラムを猛特訓したのだそう。最高のプロが教えているのだろうけど、それでも2ヶ月であんなに叩けるようになるのが驚きだし、アンドリューのように根性のカタマリだ。手からふき出る血は彼の本物なんだって。ヒェ〜だよね。好きになっちゃったよ。