2025.5.29

蜘蛛の巣を払う女
スウェーデンのダヴィド・ラーゲルクランツの小説「ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女」が原作。スティーグ・ラーソンの三部作に続いて、「ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女」、「ミレニアム5 復讐の炎を吐く女」、「ミレニアム6 死すべき女」がある。
蜘蛛の巣を払う女の映画情報
原題 | The Girl in the Spider's Web | ||
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制作年 | 2018年 | 制作国 | アメリカ |
上映時間 | 115分 | ジャンル | アクションサスペンス |
映倫 | PG12 | ||
オフィシャルWeb | https://www.sonypictures.jp/he/2119167 |
監督 | フェデ・アルバレス |
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キャスト | クレア・フォイ |

以下「蜘蛛の巣を払う女」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「蜘蛛の巣を払う女」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
蜘蛛の巣を払う女のあらすじ・ストーリー
冷え切った空気が人の心まで凍てつかせるストックホルム。
背中にドラゴンのタトゥーを背負う天才ハッカー、リスベット・サランデルに仕事が依頼される。
人工知能=AI研究の世界的権威であるフランス・バルデル博士が開発した核攻撃プログラムをアメリカ国家安全保障局から取り戻すこと。
それは、その天才的なハッキング能力を擁するリスベットにしてみれば簡単な仕事のはずだった。
しかし――、それは16年前に別れた双子の姉妹、カミラが幾重にもはりめぐらした狂気と猟奇に満ちた復讐という罠の一部に過ぎなかった。
蜘蛛の巣を払う女をみた記録
「ドラゴン・タトゥーの女」(2011)の続編だが、監督やキャストが一新された。前作と比較されること上等!という意思を感じるし、前作とは違ったテイストで楽しませてくれた。
似たような雰囲気はあるがまったくの別モノで、リスベットは影のある中性的な女性であるところを残して、あとは新生リスベット。パンクロックなテイストからマニッシュになったイメージ。だいぶ苦境を経験してきたという表情が印象的。だけど人間ぽさは増していて、家族の複雑な過去と向き合ってブラックホールから抜け出そうとたたかう。子どもが振り返らないようにしている横で、じぶんも前に進むことを選んだ、実はちゃんと人間ぽいリスベット。
また、高レベルなハッカーである傍ら、大男相手に立ち向かえる戦闘スキルも習得しているようで、つい先日ベビースモーカーになったくらいのスタミナとアクションで何度もピンチを乗り越える。なにせ関係性がよくわからない相棒ミカエルがほぼなにもしないので、すべて負担しなければならないリスベットにリスペクト。
ミカエルはただの危険なお手伝い。リスベットが多少なりとも想いがあるようだったが、一瞬そんな描写があるだけで特別ふたりの絆が確かめられるようなシーンはなかった。前半に熱心なジャーナリズムを持ってるような説明もあった気がするが、それが活かされる場所もなかった。ミカエルを使わなすぎてこれはマズイ!と気づいたところで、こんな危険で世界を滅ぼしかねないプログラムを欲しがっている顧客が誰かを気づかせる仕事を与えられた、映画史に残るくらい忘れ去られた相棒で賞を授けたい。
ほんとにおもしろかったんだけど、根拠の足りないストーリーになってしまっていて残念だ。とうぜんのことだけど布石を打っておかなければ、回収したっぽいシーンが活きるはずがない。あたしがボーッとしていて見落としてる可能性はじゅうぶんあるのだけど、唐突に展開するとストーリーとは別に頭で布石を探しにいっちゃうので気もちも離れるし、現実にもどされる。リスベットも子役も芝居がじょうずなのでもったいない(´・ω・`)
そしてなによりミカエルよね。意味深な表情や目くばせだけあって、なんにもわかんなかった。NSA(アメリカ国家安全保障局)のニーダムもよくわからなかったのだけど、セキュリティでもあってハッカーでもあってスナイパーでもある?!リスベットのハッカー友だちの指示があるとはいえ、アメリカン・スナイパーをおもわせる名手やん
あともうひとつ、クライマックスが自滅はちょっとナンセンスかなぁ〜。カミラのことではなく、車の事故の自滅のほうね。急いで終結に向かうようであまりすきじゃない始末の仕方だった。
と、あれこれ出てきてしまったが、おもしろかったのでピンチ多めのアクションみたかったらおすすめです。デヴィッド・フィンチャー監督の文学的な描写とは違って、重要なことはちゃんとセリフになっているのでくみ取ろうとしなくてもわかる、いわば写実的なので鑑賞のために準備をしなくてもみられるし、よくもわるくも余韻が残りません。なんとなく、前作の閉鎖的な空気感を引き継ぎたくて、色がなく無機質な空間やムードを演出していたけど、これもまた単純で表面的だったかも。
蛇足を加えすぎちゃったけど、比較をしないために「ドラゴン・タトゥーの女」(2011)よりも先にこちらをみるのがよいかも。