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2023.2.4

JFK

JFK

原作はジム・ギャリソンの「JFK ケネディ暗殺犯を追え(On the Trail of the Assassins: My Investigation and Prosecution of the Murder of President Kennedy)」。映画に出てくるアール・ウォーレン最高裁長官は、原作の著者ジム・ギャリソン本人がカメオ出演。

第64回アカデミー賞で撮影賞と編集賞を受賞。206分というさらに長いディレクターズ・カット版も公開されている。

JFKの映画情報

原題 JFK
制作年 1991年 制作国 アメリカ
上映時間 189分 ジャンル ドラマ
映倫 R15+
オフィシャルWeb https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/jfk/5x0ZmjGauCud
監督 オリバー・ストーン
キャスト

ケビン・コスナー
トミー・リー・ジョーンズ
ゲイリー・オールドマン
ケヴィン・ベーコン
ローリー・メトカーフ
マイケル・ルーカー
ジェイ・O・サンダース
シシー・スペイセク
ジャック・レモン
ジョー・ペシ

JFKのネタバレを含む場合があります

以下「JFK」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
JFK」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。

JFKのあらすじ・ストーリー

21世紀の現在も謎が残るケネディ大統領暗殺事件。没後50年の今、20世紀最大の謎の真相に迫ったオリバー・ストーンの衝撃の問題作! 1963年、11月22日。テキサス州ダラスで第35代大統領のジョン・F・ケネディが凶弾で暗殺され、アメリカ全土を震撼させた。それから2時間もしないうちに、暗殺はオズワルドの単独犯行と発表されるが、そのオズワルドもやがて護送中に射殺される。ウォーレン委員会の一連の調査結果に疑問を抱いたニューオーリンズ州の地方検事ジム・ギャリソンは、真相を解明すべく独自の調査を開始する。だが、謎は謎を呼ぶ。深く、重く、手ごわいパズルに挑むジム・ギャリソン。それはアメリカ合衆国との長い戦いの始まりであり、愛する家族との軋みの始まりでもあった。

引用元https://www.20thcenturystudios.jp/movies/jfk

JFKの予告動画または関連動画

JFKをみた記録

1963年11月22日に起こったケネディ大統領暗殺事件。容疑者オズワルドも逮捕後すぐに暗殺されるという、オズワルドが犯人ではありません、というメッセージが明らかな雰囲気なのも有名な話だ。あまりにも大きな事件だけれど、実はその真実を追っている勇気ある有志がいた。事件から3年後、地方検事のジム・ギャリソンはケネディ暗殺事件のウォーレン委員会(ケネディ大統領暗殺事件を検証するための調査委員会)の報告書を読んで事件の矛盾点に気づき、独自に調査を進めていく。

3時間を超える長編、1秒たりとも目が離せない緊張感が見事。ドキュメンタリーかと思うような演出もあって妙にリアリティーがあるのも特徴的。原作はジム・ギャリソンの「JFK ケネディ暗殺犯を追え」なのだけど、この原作にいろいろ付け加えたフィクションだという話。しかしあたしのわるいクセというかなんなのか、ノンフィクションとして捉えている。国家を揺るがす事件がすぐそこまで暴かれようとした瞬間を、だれもが信じていた事件に疑問をもった男の根性を、フィクションだと思うことができるわけがない!簡単にグチャッと握りつぶされそうな国家の力に、恐怖を抱きつつも屈しない精神はどこからくるのか脱帽する。

この映画が話題となって、世間の暗殺事件への興味が再熱し、1992年にブッシュ大統領は25年以内に暗殺関連の機密文書を全面公開することを義務付ける法律に署名したのだそう。これほどまでに影響力をもった映画をつくるなんてこれまた脱帽。

そして、おそらくアメリカでもっとも有名な暗殺事件の犯人に仕立て上げられ、そして殺されてしまったオズワルド。この映画をみている限り、いわゆる冤罪によって生涯を終えることになってしまった彼だけれど、そう死人に口なし。知らぬ罪をきせられ彼がどうおもったか、精神が破壊されて途方もない絶望を味わっただろう時間になにを考えたのか、永久に知ることはできない。もしかしたらそんなことを考える間もなく殺されたのかもしれないけれど。真実はわからないし、もしかしたら本当にオズワルドが実は射撃の名手で犯人なのかもしれない。ただ証拠不十分に事が進んで、じぶんの未来が無関係に閉ざされたのだとしたら、人間という生き物の命の尊さが失われた凶悪なケースであることはまちがいないよね。いまもどこかで、罪なき罪人が死を目前にしているかもしれない。某カレー事件もそうだ、不十分な証拠で真犯人がいるだろうという記事もある。平和でおだやかな暮らしを求めるひとが大多数のはずなのに、悪人が望む真逆の方向へ進むのはどうしてだろうね。悪い人間が笑うなんておかしいし許せないのに止められないのはどうしてだろうね。考えさせられる、だけで終わらせてはいけないテーマです。


重厚で説得力のある展開はケビン・コスナーの名演だけではなく、豪華な名優たちの好演が光まくる。ベテラン役者たちにとってはいとも簡単に役になりきっている、という気がしてならない。彼らにとっては役になりきることが当然で自然であたりまえのことで、その自然さにおそろしさを感じるくらいハマりにハマっているの。脚本を読み、台本をもってセリフを頭に入れ、こんなかんじだろうかと想像して、監督の指示を受けて役になりきる、この一連をベテラン役者たちがこなして作品を作り上げている、この流れが想像できないくらい自然で、しかし名優たちのプライドや情熱を感じるという不思議な感情に陥った。

独特な撮影テクニックにも雰囲気をもっていかれたとおもうのだけど、現代である印象を感じさせず、数十年前のいまとはまったく違う匂いや空気を汲みとらせるような古くさい色合いが、さらにストーリーに重さや説得力を加えるようだった。これだから90年代の映画はおもしろいのよね、雑なようで繊細で細部までこだわりがぎっしり詰まっていて、役者たちの情熱も感じられる映画は、そう多くないでしょ。