映画紹介・映画レビュー《ポップコーン》

映画を探す・検索

2018.4.25

グッドフェローズ

グッドフェローズ

実在するヘンリー・ヒルというマフィアの男を描いた映画。ヘンリー・ヒルは2012年に病死していて、主要なポーリーやジミーもすでに亡くなってるとのこと。

1990年のアカデミー賞作品賞にもノミネートされ、トミー役のジョー・ペシは助演男優賞を受賞。その他の映画賞でもノミネートや受賞がチラホラ。

グッドフェローズの映画情報

原題 Goodfellas
制作年 1990年 制作国 アメリカ
上映時間 145分 ジャンル ドラマ
映倫 G
監督 マーティン・スコセッシ
キャスト

レイ・リオッタ
ロバート・デ・ニーロ
ジョー・ペシ
ロレイン・ブラッコ
ポール・ソルヴィノ
クリストファー・セロン
ジュリー・ガーフィールド
サミュエル・L・ジャクソン
フランク・シヴェロ
マイク・スター
フランク・ヴィンセント

グッドフェローズのネタバレを含む場合があります

以下「グッドフェローズ」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
グッドフェローズ」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。

グッドフェローズのあらすじ・ストーリー

1955年、ニューヨーク。マフィアに憧れる少年ヘンリー(レイ・リオッタ)は地元を仕切るポーリー(ポール・ソルヴィノ)のもとで働きはじめた。先輩のジミー(ロバート・デ・ニーロ)やトミー(ジョー・ペシ)とともに数々の盗みを成功させ成長していった。
しかしある時間を境に、ヘンリーの人生が狂いはじめる…。

グッドフェローズの予告動画または関連動画

グッドフェローズをみた記録

実在した人物の話だからなかなか小汚いところが目立った。特に後半の話だけども。
“盗みが得意なマフィア”って、正直だいぶテンション下がるんだけど、ここがリアリティーさを増してる部分なのかも。
そもそもマフィアがどうやって資金を得ているのかなんて知らないし、実際は強盗という若干地味目なものなのかも。強盗が地味というのも、ハリウッドの映画で強盗しているものといえば、緻密な計画に華麗な手さばきみたいな悪いことしてるのに手品のようは華やかさすらかんじる。それと比べたらもちろん地味で暗くて、”現実はこっち”というリアリティーがある。

あたしの場合、夫婦だの恋人だのの部分を切り取るクセがあるから、グッドフェローズでも気になったのはヘンリーとカレンの関係。

前半の小さな頃からマフィアの世界に足を踏み入れ成り上がっていく様は、強盗集団とは裏腹にきらびやか。カレンがよろこぶのも理解できる。
特別な扱いを受けられるほどヘンリーは成功していて、行くところ行くところで俺の女と紹介してくれたり、歓迎してもらえたり、特別なもてなしを受けられたりする世界は女性として憧れるのはよくわかる。
ヘンリーの女性に対するそれはまさに完璧だとおもえた。冷たい男のようでやさしい。間違いなくじぶんを特別かわいがっている感を与えてくれて、金も持ってる。これは惚れ込む。

と同時に、さらに金を求めたヘンリーの堕落ぶりもとことん。悪行の先輩たちの警告も虚しく、ヘンリーはドツボにハマっていく。
カレンとの関係もボロボロ、カレンもボロボロ。夫がじぶんのもとへ戻ってきたときには、夫も人が変わってた。しかし離れられない妻はじぶんも染まるしかなかった。
カレンの目線で語られるナレーションは中盤以降なくなり、カレンの内心を知り得る描写がほぼなくなるから、自我をなくしたのかとおもうくらい、ヘンリーに付いてしっかり動ける妻になってたのはビックリしたけど、もうその道しか残されていなかったってことなんだろう。
なんてったって、皮肉なことにヘンリーがボロボロになっていったときこそ、カレンとの関係が成り立っているんだもの。ほんとの夫婦になったときは、いつかのキラキラした生活とは真逆の生活になったときだった。
ほんと皮肉な話だ。

どんな業界でも、たとえ悪の世界でも、先輩の言うことはまともにきくべきかもしれない。
おかしな先輩もいるけど、良くも悪くも金のつかい方とじぶんの守り方はきっと教えていた。その教えを素直に受け取っていたときは成功のままでいられた。
教えを右から左へ流しはじめたころ、じぶんに自信がついたころか、思ていた方向とは違う方向へ進んでしまったころ、時すでに遅し。
皮肉なことに、ヘンリーが受け入れられたきっかけから数十年後、逆の方法で裏切りじぶんと家族を守る選択をする。

いい意味で騒がしく、ナレーションが利いていた前半から中盤。後半になると一気に映画の温度が下がって、ヘンリーの心情は表情でうかがうことになる。
これこそ窮地、という感じがしたけど、憧れた人たちを裏切ることへの葛藤や、こんな俺だけど家族だけは守るという決意は描写が薄く、これはこれでスコセッシ感なのかな。媚を売らない映画ってかんじがした。

爆笑する映画でもないし、号泣する映画でもない。感心することもないし、感動することもない。
時代がちがうことも関わるとおもうけど、ほんとに存在するマフィアはきっとこんなもので、割と狭い世界で生きていて、華やかな生活とは違い、こここそ人間味があふれている世界だと知らされる。

どんな男でも、女への始末が悪いのはいいことない。愛人がいようと、お抱えの娼婦がいようと、そこは問題ではなく、家族にだけは常に愛を注いでいるフリはしておくべきだ。
ほんのすこし、かわいがっておけばいいのに。継続しなきゃいけないんだから、すこしずつ愛を分けよう。一気に与えるから壊れるんだ。頭のいいヘンリーが、それを欠いたことは非常に残念だったね〜。