2023.5.20
竜とそばかすの姫
スタジオ地図制作。スタジオ地図は10周年だそう。第45回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞、最優秀音楽賞を受賞。
竜とそばかすの姫の映画情報
原題 | |||
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制作年 | 2021年 | 制作国 | 日本 |
上映時間 | 121分 | ジャンル | アニメ |
映倫 | G | ||
オフィシャルWeb | https://ryu-to-sobakasu-no-hime.jp/ |
監督 | 細田守 |
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キャスト | 中村佳穂 |
以下「竜とそばかすの姫」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「竜とそばかすの姫」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
竜とそばかすの姫のあらすじ・ストーリー
自然豊かな高知の田舎に住む17歳の女子高校生・内藤鈴(すず)は、幼い頃に母を事故で亡くし、父と二人暮らし。
母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずは、その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。
曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、親友に誘われ、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加することに。<U>では、「As(アズ)」と呼ばれる自分の分身を作り、まったく別の人生を生きることができる。歌えないはずのすずだったが、「ベル」と名付けたAsとしては自然と歌うことができた。ベルの歌は瞬く間に話題となり、歌姫として世界中の人気者になっていく。
数億のAsが集うベルの大規模コンサートの日。突如、轟音とともにベルの前に現れたのは、「竜」と呼ばれる謎の存在だった。乱暴で傲慢な竜によりコンサートは無茶苦茶に。そんな竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づくベル。一方、竜もまた、ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。
やがて世界中で巻き起こる、竜の正体探し。
<U>の秩序を乱すものとして、正義を名乗るAsたちは竜を執拗に追いかけ始める。<U>と現実世界の双方で誹謗中傷があふれ、竜を二つの世界から排除しようという動きが加速する中、ベルは竜を探し出しその心を救いたいと願うが――。
竜とそばかすの姫をみた記録
ここ最近ではいちばんよくわからない映画だったかもしれない。世界は女子高生が救っているような映画が多いようで、この映画も女子高生が活躍するのだけど、唐突に展開していくため説得力に欠け理解が追いつかないまま、当人たちだけが戸惑い、立ち向かい、解決し、感動して、未来に向かっていく。傍観者的感覚にさせられる映画は少なくないけど、この映画もそんなかんじで共感する間もあたず、ずいぶん強引にストーリーが進んでいったようにおもう。
- 仮想現実のUの世界がリアリティがあるようにしているわりに、ただふわふわ浮いているだけの空間で50億ものアカウントがUで日頃なにをしているかがわからないので魅力がわからない
- チュートリアル的に説明はあるのだけど、現実との結びつきがいまいち理解できない。動くキャラクターがいるTwitterのようなものに過ぎないのではないか。
- なぜ突然ベルの歌に対して人気に火がついたのか。どこにでもいそうな日本ポップスをいまさらわざわざ、とここは個人的な偏見。
- 知り合って間もない関係で心を開くのがずいぶん早いようでまったく共感できない。竜とベル互いが気になる存在になる理由がわからない
- 竜は現実で大きな問題を抱えていたのはいいが、Uの世界でなぜ暴れていたのか紐つかない
- あれだけの大人が関わっていて女子高生ひとりで問題に立ち向かわせるのはあまりに不自然。暴行を受けるおそれがかなり高いのに、ましてや見知らぬ大都会へ見送るなんざ。友だちの男手はヒントだけで役立たず。
美とされるものの移ろいはほんとにはやくて、わざわざそれを追うひとたちは大変だろうけど、つぎはもはや八頭身ではなく十二等身のニンゲンが憧れられないか心配になった。単なるアニメのキャラクターだけど、この国や徐々に世界もキャラクターを擬人化して、むしろそのキャラクターのようでないとバケモノ、みたいな思考すらあるバカバカしい考えもある時代なので、八頭身なんてスタイルわるすぎ〜、といって膝でもぶった斬って身長を伸ばそうとして両足切断なんてことになったら苦労は多いわよ、と他人事としてふと考えた。
あとはディズニーアニメ「美女と野獣」を思いだすようなキャラクターやシーンだけが印象に残っている。真似ようがオマージュだろうが偶然だろうがどうでもいいのだけど、「美女と野獣」をみたひとならだれもが気づくくらいそのままだったようにおもうが、それはよいことなのだろうか。悪いことではないにしても、必要なことなのだろうか。新たな「美女と野獣」を作りたかった、ということなのだろうか。
総じてびっくりするくらいおもしろくなかったです。まわりにこの映画をみたひともいないので評判はきいてなかったけれど、まちがいなく低評だろうね。押し付けがましく、この脚本家(兼監督ですが)の映画は以後注目しない可能性が高まりました。この物語がわからないなんてセンスないわね、と思われちゃう系なのかな。