ザ・コンサルタント

ザ・コンサルタントをみた記録

田舎の会計士はクリスチャン・ウルフには殺し屋という裏の顔を持っていた。彼は高機能自閉症（端的に言うと、対人障害や言語発達の遅れがみられ、知的発達の遅れを伴わない障害だそう）で、軍人である父と弟と三人家族、大人になって困らないように子どもの頃から鍛錬を積まされていた。クリスチャンは大人になって会計士になり、日々自分なりのルールを守りながら淡々と会計士と殺し屋の仕事をこなしていた。

殺し屋が主人公のクライム映画は世に溢れていて、自分のルールを頑なに守っているけど、ひょんなことで出会う人間や出来事でルールを破って〜という展開も多々あるが、この高機能自閉症であるクリスチャンはお約束事がない、本気の自分ルールを持った殺し屋。それなりに人間味もあるのだけど、終始、なんのために、どういう気持ちで、どんな夢をもって生きているかがぜんぜんわからない男でミステリアス。当然、殺し屋としての顔は明かさないよう常日頃から注意をしているだろうけど、感情の起伏をあえて起こさないように一分一秒、自制を繰り返しているような印象で心情を汲み取るのはわかるようで、わからなかったような気がする。つまりそれが自閉症を上手に表現していたはず。

アメリカにおいて68人に一人が自閉症、本当の数字なのだろうけど、もはや『普通とは違う』のは違くて、『普通のなかのひとつ』なんじゃないかとは思うけれど、まだ世の中ではそっち側とこっち側とをある程度分けておかないと、特に子どもの頃は教育方法によってどんな大人になるかに差が出てくる。しかもとんでもなく大きな差が。

自閉症の人間はそうでない人間と比べて長けた能力があると聞く。歴史上の偉人も自閉症だっただろうって話もよく聞くよね。普通の人間が多数派な中に、なんの対策もせず飛び込んだら自閉症の人間が社会で生きづらくなっていってしまうというのは理解できる。事実、実際に周りでもそんな雰囲気を感じる友だちもいるしね。もはや世界では自閉症ということばは知られてきているのだし、当然自閉症ではない人間たちのサポートはごく自然にされるべきだ。でもそううまくはいかないだろうから、その子の能力を活かして、じぶんで生きていけるようにしなくちゃいけない。

さすがに殺し屋は極端すぎるのだけど、これから自閉症の人間とみんなでうまくやっていくには、自閉症の人間も自閉症ではない人間も、どちらも小さな頃から教育が必要だろう。

最初から最後まで目を離せない展開で見応え十分。アクション映画ではあるけども、自閉症という本来のテーマは深くて、世界の人間の未来をとっても期待したいと思う映画だったよ。

ベン・アフラックは監督をしても役者をしても、もう完ぺきの域に突入している模様。いい感じに年齢を重ねていてかっこいいね。つい先日、ジェニファー・ロペスと結婚したね、おめでとう！

自分の子が自閉症とわかって、親がどう期待するかで将来は変わる
結婚して自立できるかもしれない、その逆もある
だが世間と同様に最初から諦めたら何も変わらない
高い能力があるのに、それを伝える術を知らないだけかも
我々が聞く力を持たないだけかも