南極物語
Wikipediaによると、映画館のない地域でもPTAや教育委員会がホール上映し、当時の日本映画の興行成績新記録となる空前の大ヒットだったそう。
2006年にはポール・ウォーカー主演でディズニーによるリメイクが公開。
南極物語の映画情報
- 1983年/日本
- ドラマ/145分(G)
監督:蔵原惟繕
キャスト:
高倉健
渡瀬恒彦
岡田英次
夏目雅子
荻野目慶子
以下、ネタバレを含む場合がありますのでご注意ください。
あらすじ・ストーリー
昭和32年、昭和基地では観測隊第一次越冬隊が犬たちとともに南極で調査をしていた。翌年、第二次越冬隊と交代するために、犬たちを残して観測船宗谷に乗り込んだ。第二次越冬隊に犬たちの引き継ぎを済ませたが、天候が悪化、回復の見込みも立たないためにやむなく第二次越冬は中断することが決定。
犬の世話をしていた潮田隊員や越智隊員は、残してきた犬たちを連れ帰るためにヘリを飛ばしてほしいと懇願するが、文部省からの命令違反にもなるし、宗谷に蓄えている水も燃料も限界が近く、犬たちを連れ帰るために引き返すことができなかった。犬たちは鎖に繋がれたまま、隊員が残してきた一か月分の食糧しかないまま、置き去りとなってしまった。
南極物語をみた記録
急きょ越冬が中止になり、基地に犬を残していくことになった南極観測隊の物語。
90年代に入るとさほど気にならなくなるが、80年代しかも前半までの映画は映像がジャリジャリ。おかげでほぼドキュメンタリーにみえてくる。役者の芝居もときにはセリフ染みた現実味のないところはあるけど、ほとんどが自然で日ごろのおじちゃんたちがボソボソ話してるような飾り気がないものなのでリアリティーがある。ハリウッドの大スペクタクルを味わってしまった人間には薄味で、ホームビデオで研究所が残した記録のような、それが逆に現実味を増しているように感じているわけさ。
そんななか、際立って違和感を放つのが高倉健という役者だ。ぜったいふつうの人間ではない、オーラというか雰囲気というか、庶民のふつうの暮らしの風景にまったく馴染んでいなかった印象。俳優高倉健のイメージそのものの潮田隊員だったので、物珍しいというか、これが伝説の男か、とかいう目でみてしまっていた。
対して越智隊員扮する渡瀬恒彦は、たしかに二枚目と品位はときたま漏れ出ていたけど、ただただ犬たちがすきなんだ、というおじさん感があって、特段注目するものもなかった。おどろきなのは、渡瀬恒彦当時38-39歳くらいなこと。
なお、高倉健は当時51-52歳くらいね。第二次越冬の犬の世話係だった佐藤浩一は22-23歳くらい。
古い映画はこうやって役者のことや解像度のことばかり気がいっちゃうのだけど、肝心の物語はというと。
無駄なく、事実だけを物語にしようとしたら一時間くらいにおさまってしまって長編映画にはならないだろう。加えたのは、犬たちがどう生き抜こうとしたかと、潮田隊員が犬たちを見捨てることになってしまった後悔と葛藤、そして犬提供者への謝罪。
潮田隊員や越智隊員が前を向きはじめた描写はないものの、ずっと犬たちへの愛情を忘れず、苦しんでいたことはよくわかる。いやはや、そもそも犬たちの扱いが荒く乱暴にみえるのだけど、当時はこんなものだろうし、むしろだいぶマシなほうだろう。
こうやって幾万の犬たちが単なる動物として、というかモノのように扱われて、愛情深いひとたちのおかげで犬も家族になっていったんだな、とそんな視点でみていた。あたしも何匹かの犬と暮らしてきたから、しつけや叱るために叩くシーンは胸が痛むのだけど。学生のころにみたときは当時の慣習(不適切ぽいけど他にふさわしいことばがわからないからニュアンスで)のことなんて考えてもいなかったから悲しくてしかたなかったし。
そして余白が多いのも特徴で、それはそれは南極大陸という広大な銀世界と自然の恐ろしさを伝えようとしている描写なのか、こんなだだっ広く、美しくも絶望な世界で犬たちの懸命な生き様を表現しているのか、解像度の低いなか、真っ白で恐ろしい極寒地をみせる余白シーンが醍醐味でもあるのだろう。おかげで2時間を超える長編にまで膨れ上がっている。
時系列はそのままだけど、一方そのころ…が唐突に入るあたりが古くさいが、最初から最後までなにも難しいことはなくわかりやすい。ただ話し言葉がとても自然なので日本語字幕があったほうがいい。あたしはDVDに字幕がついていたのでラッキーだったが、言葉が聞き取れないと雰囲気つかめなくなるはず。
だれでも知っているこの話、みんな1983年のこの映画をみたことがあるんだな〜とおもっていたけど、現代でもいくつかドラマや映画があるんだってさ。なんとディズニーもいまは亡きポール・ウォーカー主演でリメイクしている。ずっとポツンと配信一覧に存在していたのに、なぜが現在はディズニープラスに入っていない!さぞ感涙ぽろぽろにできあがっているのを確かめたかったのに。
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